
「イナガワセーホン」は大正13年に「稲川製本所」として創業し、80余年の歴史を持ちます。創業当時から特殊製本に特化し、レコードジャケットや生地の見本帳から、飛び出す絵本やカレンダーと、紙の加工にこだわってきました。
その80余年の中で私は3代目になりますが、私の主義として工場内は絶対整理整頓・清潔主義を貫いています。
昭和20~30年頃は、今のように空調設備も整ってなく、紙が風で舞うのを防ぐため夏も扇風機は控え、冬は火の用心のため暖房も極力控えました。外気と遮断される傾向があるため屋内は紙の切りくずと紙粉、ほこりやパウダー(印刷時に使用される粉)機械油の焦げたにおいとニカワ(動物の骨や皮などから作られた接着剤で釜で熱して使用するため異様な匂いを放つ)の匂いが充満し、おまけに薄暗いといった状況でした。
有名な映画監督で浦山桐郎監督という方が大学在学中にうちの工場でアルバイトをしておられたそうです。その先生の作品に「青春の門」という映画がありました。私もその映画は鑑賞しましたが、作品の中で主人公が製本屋でアルバイトをする場面があり、非常に汚く、薄暗い光景がうちとそっくりで、先生に与えた影響がそのまま出てしまったんだと思ってしまいます・・・。
そういった感覚が自分の心の奥底にデ~ンとかまえているために、工場内はいつも整理整頓、ゴミが落ちていたら直ぐ拾う。工場内や水周り(特にトイレ)に清潔感があると皆さん「いい工場ですね。」と言って頂ける。
職場を誰が見ても好印象を与える場所にするよう努めることはとても重要なことだし、それにより、その工場で作られる製品への信頼、信用が築かれるのだと思います。